十字軍の年表|主な出来事を年号順に覚えよう

十字軍の歴史「年表」編

この記事では、十字軍の主要な出来事を年号順に解説しています。十字軍時代の代表的な出来事とその背景、各遠征の成果に注目し、流れを掴んでいきましょう。

十字軍の年表|主な出来事を年号順に覚えよう

十字軍の時代、11世紀から13世紀にかけて、キリスト教徒による「聖地奪還」を目的とした大規模な遠征が数多く行われました。宗教的な情熱、政治的な利害、そして軍事的な動機が絡み合う中、ヨーロッパから聖地エルサレムへと向けられた遠征は、世界史に深い影響を及ぼしました。十字軍の歴史を年表で辿ることで、この壮大な運動の全体像を掴み、各遠征の意図と結果について理解を深めていきましょう。

 

十字軍時代の出来事一覧と簡単解説

出来事 詳細
1095年 クレルモン公会議 教皇ウルバヌス2世がクレルモンで十字軍の遠征を提唱した。キリスト教徒が聖地エルサレムをイスラム教徒から解放するための聖戦を呼びかけ、十字軍の運動がここから始まった。
1096年 第1回十字軍の開始 初めての遠征に多くの騎士や農民が参加し、エルサレムを目指した。この遠征では多くの戦闘が行われ、やがてエルサレムの奪還に成功した。
1099年 エルサレム奪還 第1回十字軍がエルサレムをイスラム勢力から奪還し、キリスト教徒の統治下に置かれたことで、エルサレム王国が建国された。これが十字軍の大きな成果となる。
1147年 第2回十字軍 イスラム勢力による十字軍国家への圧力が強まり、エデッサ伯国の陥落をきっかけに第2回十字軍が開始されるが、大きな成果を得られなかった。
1187年 エルサレム再奪還(サラディンの勝利) イスラム教の指導者サラディンがエルサレムを奪還し、キリスト教世界に衝撃を与えた。この出来事が次の十字軍を呼び起こすきっかけとなる。
1189年 第3回十字軍開始 エルサレムの再奪還を目指して、イングランド王リチャード1世、フランス王フィリップ2世、神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世などが参加したが、エルサレムの奪還には至らなかった。
1192年 リチャード1世とサラディンの和平条約 第3回十字軍はエルサレムの奪還には失敗したが、キリスト教徒の巡礼が許可される和平条約を結び、いったんの和解が図られた。
1202年 第4回十字軍開始 エルサレムではなくコンスタンティノープルを目標にし、ビザンツ帝国の首都が占領されるという結果になった。宗教的な目的を逸脱した十字軍の姿が浮き彫りになった出来事だ。
1204年 コンスタンティノープル占領 第4回十字軍がコンスタンティノープルを占領し、一時的にラテン帝国が成立した。これは正教会との亀裂を深める結果を招いた。
1212年 子供十字軍 若者や子供たちが信仰の力だけで聖地奪還を目指すという異例の十字軍があったが、 計画は失敗し、目的を達成することはできなかった。
1228年 第5回十字軍 神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世がエルサレム奪還のための遠征を行ったが、軍事力ではなく交渉によってエルサレムを一時的に取り戻すという結果に終わった。
1244年 エルサレムの最終陥落 イスラム勢力がエルサレムを完全に奪還し、以後キリスト教勢力がエルサレムを取り戻すことはなかった。
1248年 第6回十字軍 フランス王ルイ9世が率いた遠征だったが、エジプトでの敗北により、大きな成果を挙げることなく終結した。
1270年 第7回十字軍 ルイ9世が再び遠征を行ったが、チュニジアで病に倒れ、十字軍はまたも成果を挙げずに終わった。
1271年 第8回十字軍 ルイ9世の弟であるイングランド王エドワード1世が率いた遠征だ。エドワード1世は聖地奪還を目指したが、現地でのイスラム勢力の抵抗が強く、大きな成果を上げることはできなかった。
1272年 エドワード1世の帰国 エドワード1世がイングランドへ帰国し、十字軍としての活動を終了した。この時期をもって、ヨーロッパ全体における十字軍への関心も薄れていく。
1274年 リヨン公会議 カトリック教会は第2リヨン公会議において、再び十字軍遠征を提唱したが、具体的な派遣には至らなかった。経済的な負担と十字軍運動の効果への懐疑から、ヨーロッパ諸国の支援は弱まりつつあった。
1275年 - 1291年 第9回十字軍(最後の遠征) 第9回十字軍は、1270年代のエドワード1世による遠征を含む一連の活動としても捉えられ、十字軍の最終章とも呼ばれる。中東地域でのキリスト教徒の拠点を守るために小規模な遠征が行われたが、結局イスラム勢力の前に陥落してしまう運命だった。
1291年 アッコン陥落 アッコンがイスラム勢力に占領され、十字軍国家の拠点は中東から消 滅した。これにより十字軍運動は実質的な終焉を迎えた。

 

年表で十字軍の歴史を追うことで、長い年月にわたり続いたキリスト教世界とイスラム世界との対立や宗教的な情熱、またその過程で起こった目的の変質を一目で把握できます。十字軍運動が宗教的・政治的背景を持つ壮大な運動であったことがわかると同時に、キリスト教勢力が中東へ向けた影響力を強めた理由も見えてくるでしょう。このように、年表を用いた流れの理解は、十字軍の大規模で複雑な動きを俯瞰する助けになるのです。