聖ラザロ騎士団の歴史|十字軍との関係や違い

宗教騎士団解説「聖ラザロ騎士団」編

この記事では聖ラザロ騎士団について解説しています。十字軍との関係やその活動の違い、さらに騎士団の歴史と後世に遺した影響に注目し、詳しく探っていきましょう。

聖ラザロ騎士団の歴史|十字軍との関係や違い

中世ヨーロッパの十字軍遠征の時代、多くの騎士団が結成されました。その中でも聖ラザロ騎士団は、十字軍の活動とは異なる、特別な使命を持つ修道騎士団として創設されたものです。この騎士団は、ハンセン病患者の看護と庇護を中心に活動し、病に苦しむ人々を救うことを宿命としました。今回は、聖ラザロ騎士団の誕生からその歴史、さらに十字軍との関係について深く掘り下げていきます。

 

 

聖ラザロ騎士団とは

聖ラザロ騎士団は、ハンセン病患者の救済と保護を目的に創設された修道騎士団です。多くの騎士団がキリスト教勢力の拡大や聖地奪還を掲げていた中で、聖ラザロ騎士団は、病を抱える人々の保護を目的としていました。設立当初はエルサレムに拠点を構え、患者の治療や看護に専念し、その後も中世ヨーロッパで医療的支援を続けました。彼らの役割は、当時の社会では珍しいものであり、神に仕える姿勢が強調された組織だったといえます。

 

聖ラザロ騎士団と十字軍

騎士団が十字軍と無関係ではいられなかったのは確かです。しかし、その活動や使命には独自の違いが存在しました。以下では、聖ラザロ騎士団と十字軍との関係性とその違いについて解説していきます。

 

十字軍との関係

聖ラザロ騎士団は十字軍遠征の時期に誕生したため、どうしても十字軍との接点を持つことになりました。特に、聖地エルサレムを防衛するという目的から、騎士団も十字軍に協力する場面が多く見られました。ラザロ騎士団の一部のメンバーは戦士として十字軍に参加することもあり、聖地防衛のために戦場に立つことも少なくなかったのです。とはいえ、戦闘に関わる騎士たちもその本分はあくまで医療と支援に置かれていたわけです。

 

十字軍との違い

十字軍が、聖地エルサレムの奪還を目的とした軍事遠征の一時的な集団であったのに対し、聖ラザロ騎士団は恒久的に活動する組織で、キリスト教信仰に基づく医療支援がその使命でした。聖ラザロ騎士団は戦闘よりも患者の看護に重きを置き、戦場でも負傷者や病者の治療にあたる医療組織としての機能を果たしていたのです。

 

聖ラザロ騎士団の歴史

ここでは、聖ラザロ騎士団の設立からその衰退までを追い、騎士団の歩みとその背景を探っていきましょう。

 

創設

聖ラザロ騎士団は、11世紀後半のエルサレムで、十字軍遠征のさなかに創設されました。聖ラザロ病院を拠点に、ハンセン病患者の保護と看護を行い、一般社会で忌避された患者たちを支えることを目的としていました。創設当初から医療を重視した聖ラザロ騎士団は、病者救済を活動の中心とする希少な組織だったのです。

 

盛衰

エルサレムがイスラム勢力に奪われた後も、聖ラザロ騎士団は他の地域での活動を続けました。特に13世紀にはフランスに拠点を移し、騎士団の活動を継続しました。騎士団は病者のケアに留まらず、地域の貧困層への支援も行うようになり、幅広い社会貢献を行う団体へと成長しました。この時期、騎士団は教会や貴族から支援を受け、医療支援を通じて大きな影響力を持つようになったのです

 

消滅

聖ラザロ騎士団はその後、フランス革命の影響で壊滅的な打撃を受けました。貴族の保護や支援が絶たれ、騎士団は活動を続けられなくなります。しかし、騎士団の思想や信仰は失われず、現在もフランスやイタリアで聖ラザロ騎士団としての名を残しており、歴史的な遺産と医療・福祉活動が今も続けられているのです。

 

聖ラザロ騎士団が後世に遺した影響

聖ラザロ騎士団が後世に残した影響は、単にその歴史だけではなく、医療や福祉、社会的な支援体制にまで広がっています。

 

医療支援の先駆け

騎士団が行ったハンセン病患者の看護や救済活動は、後の医療支援活動の基礎となり、特に修道院を中心に広がる福祉活動へと発展しました。社会から疎外された人々を救済するという精神は、医療の使命の一端を担うことになったのです。

 

医療・福祉活動の礎

聖ラザロ騎士団が行った医療支援は、貧困層を支える福祉活動としての側面も持っていました。この活動は、現在の医療制度の原型にもなり、地域社会の医療支援活動としても位置づけられています。貧困層への支援と医療を一体化させたこの形態は、後の病院や福祉団体の活動に受け継がれています。

 

宗教的な福祉支援の展開

聖ラザロ騎士団の活動は、宗教を基盤にした福祉支援活動の端緒となりました。宗教的な背景を持ちながらも社会的な役割を果たし続け、後世の福祉支援モデルに影響を与えました。このように、信仰と社会貢献が融合した活動は現代の福祉にも引き継がれています

 

以上、聖ラザロ騎士団についての解説でした!

 

ざっくりと振り返れば

 

  • 聖ラザロ騎士団は医療支援を使命に創設された特殊な騎士団
  • 十字軍とは異なり、病者の支援に特化していた
  • 後世の医療や福祉活動に影響を与えた

 

・・・という具合にまとめられるでしょう。

 

ようは「聖ラザロ騎士団は信仰と医療支援を融合し、社会に重要な遺産を残した」という点を抑えておきましょう!